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『平和な星』 –1–

思いついたものの、コミックにする時間と気力がなさそうなので、とりあえずメモしていきます。
うまくまとまったら、退治屋の「原作/小説」のところにアップできるかな~~
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第1章 特別通信
ピルルル、、、ピルルル
星間特別通信の呼出音がなった。

「カイザー、起きるじょ、呼び出しだじょ」
あーちゃんOSがカイザー部屋のコンソールに現れ、不機嫌に点滅した。

「なんだよ、寝てるときぐらいは自動対応しろよ、あーちゃん」
コンソールの真下で芋虫状の銀色の物体が大きくうねった。

「いいじょ。あーちゃんが代わりに聞くじょ。」
「用件は何なのだじょ」
最後の言葉は通信相手に向かって言ったらしかった。

『なんだ、やれば出来るじゃないか』
もう一度深く寝袋に潜り込みながらカイザーが満足そうにつぶやいた。
『違法OSとはいえ天才技師コスミ博士の作だもんな』
カイザーは放浪の天才技師、コスミ博士との当時のやり取りを思い出してくすくす笑った。

「楽しそうね、カイザー」
ふいに耳元で声が響いて思わず飛び上がった。
「タヌウ!」
小さなホログラフィではあったが、まぎれもなくリブフリー総帥タヌウ・ゼステロージがそこにいた。

「あーちゃんは止めたんだじょ」
さっきより不機嫌になってしきりに点滅をくりかえすと、精神年齢の幼いOSはさっさとコンソールから姿を消した。
消えたあーちゃんよりも今はタヌウからの通信のほうが重大事項であった。

「今日も色っぽいな、タヌウ閣下。」
ホログラフィをつつきながらカイザーがわざと下品な口をきく。
「次は生身でおでまし願いたいね」

「ふふふ、あいかわらずね、カイザー」
全宇宙の退治屋7割を傘下におく超巨大企業リブフリーの最高責任者がこのようなたおやかな女性であると誰が思うであろうか。
もっとも見かけと違い、タヌウの実年齢は千数百歳であるとも言われ、その素性にしても(ミーナと同じ)絶滅危惧種のニャニャ星人であるともささやかれていた。

「何の用だ?」
ミーナが聞いたらその場で蹴りたおされそうなぞんざいな口調でカイザーが尋ねた。
「こっそり頼みたいことがあるの」
見かけは若い女性ではあったが、リブフリー社総帥である。
普段なら重役にでさえ軽々しい物言いを決して許さないであろうタヌウがなぜカイザーにだけは友達のような口ききを許すのか、不思議であった。

「あなたたちの今いる場所からアルファケンタウリ側へ5シュタイン進んだところにピースフル星があるの」

「そこへ寄ってシュナウトを退治して欲しいんだってよ」
カイザーは、宇宙船おっとっと(愛称きんぎょ)のメインルームに乗組員を集めて、昨夜タヌウに聞いたとおりのことを繰り返した。

粗雑な態度とは裏腹に、金色の美しい髪をさらりと払い、金色の瞳を輝かせてしゃべるカイザーは、美貌と呼ぶのがふさわしい容貌なのであった。

乗組員と言っても3DのあーちゃんOSを除けばたったの二人がカイザーに対峙していた。

「信じられない〜 どーして起こしてくれなかったの?」
口をとがらせてカイザーに抗議しているのはピンクの長髪をツインテールに結び、猫手袋と猫足袋をつけているビキニ姿のかわいい少女、ミーナであった。
背中の羽は彼女がニャニャ星人であることを告げていた。

「しかしタヌウ総帥の依頼なら無視するわけにもいくまい」
落ち着いた低い声で応対したのは、深い緑色の髪と緑の瞳を持った、戦闘家フェイスであった。

「そうこなくっちゃ、フェイス。
リブフリーの公式ネットに載せられない退治依頼だぜ。
うまくいきゃ、報酬もたっぷり入るさ、ミーナ。
文句ないだろ?
金で来るかポイントで来るかはわかんないけどな」

リブフリー傘下の退治屋たちは、タヌーという単位の宇宙共通貨幣か、リブフリー社保証のベティという単位の「ポイント」で生計をたてていた。退治屋たちはグリーン、ブルー、ブロンズ、シルバー、ゴールドマスターの順にライセンスが分けられ、階級があがれば扱う「ムシ」のグレードもあがる代わりに、受け取る報酬も莫大なものになった。

さて、カイザーたちはというと、腕と能力に何の遜色もないと思われるのに、入門者レベルとも言われるグリーンマスターからなかなか昇格しないのであった。
「カイザーったら、資格審査料をいつのまにか使いこんじゃうんだから」
3人のうちで何となく家計担当になっているミーナがフェイスにしょっちゅうこぼす愚痴であった。

「それでそのシュナウトっていうのはどんなムシなんだ?」
フェイスがきんぎょの制動装置を操作しながらカイザーに尋ねた。

「それがなー、よくわかんねえんだよ」
大きくソファに踏ん反り返った体勢はそのまま、ちょっとだけ困ったようにカイザーが応じた。
「詳しく聞くまえにあーちゃんが通信を切っちゃたんだよな」

「あーちゃん!」
ミーナの声が飛んだ。普段は母親のようにあーちゃんに接しているミーナであったが、こういうときは厳しかった。

「あーちゃんは悪くないじょ。カイザーが自動応答するよう言ったんだじょ。」
意味のない言い訳を残して、あーちゃんの姿がコンソールから消えた。

「行きゃあ何とかなるって。なっ」
明るくミーナとフェイスの肩をたたくカイザーであった。

by stagezero | 2006-04-07 22:26 | 退治屋稼業